業態転換補助金の受け取り方ガイド|新分野展開や業態転換で100万円~最大1億円受け取れる補助金について知ろう
経済産業省では、新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、業績悪化に陥る企業の新たな挑戦を支援する補助金制度が発表されています。
新たな挑戦や取り組みとは、業態転換や新分野の展開、事業再編といった内容です。
今回は業態転換補助金(事業再構築補助金)の概要や要件、補助金の受け取りまでにかかる期間などについて詳しく解説をいたします。
本格的な事業再構築を考えている方は、ぜひ一度目を通してみてください。
業態転換補助金(事業再構築補助金)について
事業再構築補助金は、経済産業省が発表した補助金制度のひとつです。
コロナ禍における経済社会の変化に対応するため、業種・業態転換、新分野の展開などによる思い切った事業の再構築を試みる中小企業等の支援を行います。
事業再構築補助金の概要
画像出典:中小企業庁
新型コロナウィルス感染症の影響で売り上げ減少に苦しむ中小企業等を対象として、経済社会の変化への対応と、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。
事業再構築補助金の申請枠は以下の3種類です。
- 緊急事態宣言枠
申請要件を満たし、かつ緊急事態宣言に伴う時短営業や外出自粛の影響により、所定の期間の前年または前々年の同月に比べて30%以上減少している
- 最低賃金枠
1)申請要件を満たし、かつ所定の期間で3か月以上最低賃金+30円以上で雇用している従業員が全従業員に対して10%以上いる
2)2020年4月以降、いずれかの月の売り上げが前年または前々年の同月に比べて30%以上減少している
上記2点に当てはまっていること
- 大規模賃金引上枠
1)申請要件を満たし、かつ所定の期間の中で事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
2)同じく所定の期間までの間、従業員数を年率1.5%以上増員させる
上記2点に当てはまっていること
詳細については中小企業庁による概要説明(PDF)をご覧ください。
これらに併せて事業再構築補助金における中小企業と中堅企業の定義を理解した上で、申請要件を確認しましょう。
中小企業の定義
製造業その他 | 資本金3億円以下の会社 又は 従業員数300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金1億円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人 |
中堅企業の定義
事業再構築補助金においては上記中小企業の範囲に入らない会社の中で、資本金10億円未満の会社が「中堅企業」とされています。
申請要件
対象となるのは以下に当てはまる企業です。
- 売り上げの減少
1)2020年4月以降いずれか6か月間、任意の3か月間の合計売り上げが、コロナ以前の同時期の合計売り上げ額と比較をして10%以上減少
2)2020年10月以降いずれか6か月間、任意の3か月の合計売り上げが、コロナ以前の同時期の合計売り上げ額と比較をして5%以上減少
上記2点に当てはまっていること
- 事業再構築への取り組み
事業再構築指針に沿った新分野の展開や業態転換、事業・業種転換等を行うこと
- 認定経営革新等支援機関を利用して事業計画を策定
1)事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定
2)補助金額が3,000万円を超える場合は金融機関も参加をする
3)補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加
または、従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定
※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
事業再構築補助金はいくら受け取れる?
補助額については、中小企業(通常枠・卒業枠)と中堅企業(通常枠・グローバルV字回復枠)によって変わります。
※卒業枠とは
事業計画期間内に「①組織再編」「②新規設備投資」「③グローバル展開」のいずれかによって資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠のことを指します。(400社限定)
※グローバルV字回復枠とは
大きな成長を目指す中堅企業向けの特別枠です。(100社限定)
- 中小企業(通常枠)
100万円~従業員数に応じて8000万円(補助率2/3)
6000万円超の場合、補助率は1/2となります。
- 中小企業(卒業枠)
6000万円超~1億円(補助率2/3)
- 中堅企業(通常枠)
100万円~従業員数に応じて8000万円(補助率1/2)
4000万円超の場合、補助率は1/3となります。
- 中堅企業(グローバルV字回復枠)
8000万円超~1億円(補助率1/2)
補助金を受け取れるまでにかかる時間
事業再構築補助金には公募期間があります。公募期間の締め切り後、通常であれば採択結果発表までに2~4か月ほどかかるようです。
審査に通った場合には交付決定通知書が届き、事業を開始します。交付決定通知書が届く前の経費は対象とならない点に注意しましょう。
その後事業報告書を提出し、審査に通れば補助金が支払われる流れです。
事業を行う期間は12か月または14か月となっていますので、補助金の交付までは1年以上かかります。
しかし12か月または14か月分の経費が支払われるうえに、事業の再構築に安心して取り組めるので、業績不振に悩まれている方にとっては有り難い制度ですよね。
事業再構築補助金の受付期間はいつまで?
2021年8月時点で行われている第3回公募は、2021年9月21日18:00までとされています。
また、第3回公募が終了した後も、さらに2回程度の公募を予定しているそうなので、申請に不備のないよう焦らずに準備に取り掛かりましょう。
事業再構築補助金は電子申請で行う
事業再構築補助金の申請はすべて電子申請で行います。電子申請にはgBizIDと呼ばれるアカウントが必要です。
gBizIDとは、法人や個人事業主向けの共通認証システムです。アカウントを作成することで、行政サービスすべてにログインすることが可能となります。
また、gBizIDはアカウントの発行までに2~3週間かかると言われていますので、アカウントは早めに発行しておきましょう。
gBizIDのアカウントを取得したら、「jGrants」と呼ばれる補助金専用の電子申請システムにて申請を行います。
事業再構築補助金を受け取るためのポイント
事業再構築補助金に必要な事業計画の策定は時間を要するものです。
申請した全企業が補助金を受け取れたり、申請順に審査が行われていくわけではありません。
合理的で説得力のある優秀な事業計画に対して審査が通るものなので、企業の強み・弱みを深く分析し、しっかりとした実施体制や資金計画を綿密に立てる必要があります。
また、事業計画の策定は認定経営革新等支援機関を利用して行います。
中小企業庁のホームページより、認定経営革新等支援機関をチェックしておきましょう。
まとめ
今回は業種・業態転換や事業再編によって支援が受けられる「事業再構築補助金」について詳しく解説しました。
大がかりな事業ではありますが、アフターコロナ時代を見据えた事業の再構築は真剣に考えておきたいことのひとつです。
新型コロナウィルス感染症の影響を受けて業績が悪化している企業の方は、事業再構築補助金のホームページをチェックしてみると良いでしょう。
また、以下の記事では事業再構築補助金の概要に加えて、重要な注意点についても説明しています。ご興味があればぜひご覧になってみてくださいね。
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