業態転換によって大きく成功した企業まとめ!富士フィルムやソフトバンク、LINEなど
コロナ禍において多くの事業者が経済的なダメージを受けています。その一方、新規事業参入や新たな取り組みによって成功を収める例も見られます。
記憶に新しいものとしては、マスク開発に尽力したシャープを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。シャープは、既存の液晶パネルなどの製造ラインをマスク製造に切り替えたことで、感染拡大後に起こっていたマスク不足の解消に大きく貢献したことで消費者から好感を得ました。
そこで今回は、実際に企業が取り組んだ施策を紹介しながら、どのようにして事業が成長したのかを解説します。
富士フィルムのヘルスケア分野への挑戦
大きな業態転換による成功事例として有名なのが「富士フィルム」です。
ひと昔前は写真フィルムのトップメーカーとして認識されていましたが、今や再生医療や化粧品といったヘルスケア分野のイメージのほうが強いという方も多いのではないでしょうか。
同社がそれまでの柱だった写真フィルム事業から大きくシフトしたのは2000年代以降になります。2004年の中期経営計画でヘルスケア事業の強化を打ち出し、その2年後には富士写真フイルムの社名から「写真」がなくなりました。2006年に化粧品や機能性食品を発売し、2007年からはスキンケアシリーズ「ASTALIFT(アスタリフト)」を展開。発売4年目で売上高100億円に達し、年々拡大を続けています。
一方、創業期の1936年からレントゲンフィルムの開発などで携わってきた医療分野では、診断領域において、内視鏡、医療ITに加え超音波診断装置などにビジネスを拡大。2008年に製薬企業である富山化学工業を買収し、治療領域にも本格参入しています。また、写真フィルムで培った技術力を活かし、抗がん剤やアルツハイマー病治療薬、感染症治療薬などを開発。さらに、バイオ医薬品の開発、製造受託会社のFUJIFILM Diosynth Biotechnologies,LLC、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.、日本で初めて再生医療製品を上市した株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングなどを傘下におさめてきました。
2019年度のヘルスケア事業の売上高は5,000億円を目標とし、予防・診断・治療までをサポートするトータルヘルスケアカンパニーとして事業を拡大し続けています。
ソフトバンクのデジタル事業への転換
いまでこそスマートフォンの提供やスマートフォン向けのサービスを行っているイメージが強いですが、ソフトバンクが1981年に創業した当初は、パソコン用のパッケージソフトの流通販売事業を行なっていました。ソフトウェアが集まる「銀行」というのが社名の由来です。ソフトバンクの活躍により、日本国内のPC普及が進みました。
インターネットが普及するとソフトウェアの需要が落ち着き、次に目をつけたのがブロードバンド事業です。アメリカで誕生したADSLの技術を取り入れ、インターネットプロバイダサービスを開始したのです。
スマートフォンが普及すればスマホ用のサービスを提供。ソフトバンクは時代にぴったり合ったサービスを次々と展開して成功した事例だと言えます。
マツダの創業時はコルク製造の会社
自動車メーカーであるマツダは、以外にもコルクを製造する「東洋コルク工業株式会社」が始まりでした。1920年に創業しましたが、日本ではあらゆる商品の機械化が進む時代です。そして1927年に東洋工業株式会社に社名を変更して機械の製造にシフトチェンジ。
いきなり自動車を作ったのではなく、エンジンや単車(バイク)の製造を経て1940年に小型乗用車の製造が始まったのです。
ちょうど自動車産業の発展期の波に乗ったからこそ、スムーズにコルク工業から自動車工業への事業転換が成功したと言えるでしょう。
LINEはオンラインゲームコミュニティから開始
私たちの生活に欠かせないメッセンジャーアプリ「LINE」の源泉は2000年に韓国でサービス開始した「ハンゲーム」というオンラインゲームコミュニティサイトにあります。
ゲームができるSNSとして一躍有名でしたが、さらに子会社を作り、NAVERやlivedoorなどの検索サービスの提供を開始。しかしGoogleやYahoo!などには敵いません。そこで韓国市場とは切り離し、2011年に日本で提供開始されたのがLINEです。
オープンなSNSが溢れる中であえてクローズドなSNSにすることで、ネットリテラシーの低い消費者層もメール感覚で使うことができ、スマホが普及しつつある日本で大ヒット。あらゆる経験や過去を土台にして、LINE株式会社は現在も成長を続けています。
半数の企業が創業以来、シフトチェンジ
帝国データバンクの調査によると、1万867社のうち47.7%が創業時(設立時)と現在とでは本業が変化していると回答したといいます(2015年6月「“本業”の現状と今後に対する企業の意識調査」より)。誰もが知る大きな会社は、創業以来の事業に固執せず変化に柔軟であることが分かります。
浮き沈みが激しいこの世の中で、大きくチャレンジすることはとても勇気にいることかもしれません。しかし、こんな時代だからこそ先を見渡す、広い視野が求められているのではないでしょうか。
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